時間価値を上げろ!【2024年 利益向上委員会】
相次いで導入されるセルフレジ、そのもたらす価値とは?
スーパーマーケットやコンビニ、アパレルメーカーまで、セルフレジを見かける機会が増えてきました。
全国スーパーマーケット協会の統計資料によれば、平成30年度時点で、セルフレジが設置されている店舗は、全体の15.1%。
特に規模の大きな企業での導入が進んでおり、年々、増えています。
相次いで導入されるセルフレジ、そのもたらす価値を見ていきましょう。
セルフレジ導入の背景
なぜ、セルフレジの導入が進められているのでしょうか?
多くの企業はある一点を答えます。
「人件費の削減」
店舗運営における人件費の削減は、最重要課題。
販売の主要業務であるレジ業務を効率化することは、一人当たりの業務量を減らし、人件費の削減に繋がります。
また、各業界で人手不足が深刻な問題となっています。
人手不足の解消のため、業務の効率化を進め、従業員の経験やスキルに依存しない経営を目指す企業が増えています。
全国に800以上の店舗を構える大手アパレル企業のU社も、セルフレジの導入を積極的に進めています。
店舗のアルバイトスタッフ募集の掲示板には、次のような文言が載っています。
「未経験者歓迎、週1日からOK、外国人労働者歓迎」
アルバイトスタッフのレジ業務を軽減することで、短期間で即戦力になることを可能にし、採用の条件緩和に役立っています。また、日本語での接客が減ることで、外国人労働者の働きやすさにも繋がっているといいます。
セルフレジ導入の背景には、人件費の削減に加え、人手不足の解消を目指す狙いがあります。
セルフレジ導入がもたらす価値
企業が経営する目的は、顧客満足の追求にあります。
では、セルフレジ導入は、顧客満足を高めるのでしょうか?
顧客目線で考えれば、「お会計の待ち時間が減った」ことが達成出来れば、満足度が高いと言えます。海外の方でしたら、日本語で会話せずに済むというのも満足度につながるでしょう。
さらに、電子マネーやビットコインなどの仮想通貨による支払いなど、現金を介さない決済方法も増えてきています。
店舗運営においては、お会計の待ち時間を減らし、購入のしやすさを追求するためにも、様々な支払い方法に対応することが求められています。
セルフレジなどの機械が得意なことは、「決められた作業を正確にこなす」ことにあります。変化が加速しているレジ業務に対応するためには、人員よりも機械の方が優れていると言えるでしょう。
顧客がセルフレジを使うことに慣れてしまえば、お会計の待ち時間の短縮に繋がることが期待されます。
そのため、セルフレジ導入は、顧客満足を高めると言えます。
現状、セルフレジの導入状況は、広がりを見せ始めたばかりです。プロダクトの「ライフサイクル曲線」に照らし合わせると、導入期と成長期の間と言えるでしょう。
「セルフレジとか、機械は苦手だから、導入は辞めて欲しいわね」
特に高齢者からそのような言葉を耳にします。事実、機械操作に抵抗がある高齢者にとっては心理的な抵抗があることも否めません。
顧客目線で考えても、セルフレジは便利で効果があると考えられますが、心理的な壁があり、受け入れられない層も多く存在します。
世間に浸透までには時間がかかります。
現在は、企業側の価値が注目されていますが、徐々に顧客側の価値も受け入れられていくと考えられます。
セルフレジ導入は時代の象徴
アメリカの社会学者、エベレット・ロジャーズ氏によって提唱された「イノベーター理論」によれば、市場浸透させたいのであれば、市場全体の16%の浸透率を目指すべきだと言われます。
この割合を超えると、「関心のある層」が、一気に動き出すとされています。
歴史を振り返ってみてもそうでした。
例えば、スマートフォンやSuica。はじめは所持することに抵抗があった層も、時代の流れとともに、次第に受け入れていきました。今では、これらの製品を持たないことの方が、抵抗があるのではないでしょうか。
セルフレジの導入割合は、市場全体の約15%。
まもなく、一気に導入が進むことが見込まれています。
セルフレジに対する世間の価値観も変わっていくことが予想されます。
セルフレジ導入で見えてきたのは、人件費の削減や人手不足の解消、さらには顧客満足を追求したいと考える企業の想いでした。
「従業員の経験や教育に頼るのではなく、仕組みを変え、業績を伸ばすことを目指す」という見方も出来ます。
セルフレジに関わらず、企業の抱える課題を解決していくためには、無駄な業務を把握し、改善していくことが大事です。改善を繰り返すことで、結果として、業績向上に繋がっていくことでしょう。