時間価値を上げろ!【2024年 利益向上委員会】
日常業務のスマートな時間管理
外注から移動手段まで、時給換算すれば正解が見えてくる
時短に使えそうなビジネス系アプリ、購入する?しない?
訪問先へ移動中、間に合うかどうか心配な時、タクシーに乗る?乗らない?
そんな時は時給に換算して、価格に見合う時間的価値があるかどうか判断してみましょう。
時給というとバイトやパートなどの働き方をイメージしがちですが、お金を使う時も「時給と価格のバランス」が重要な判断基準のひとつになり得ます。
時給と価格のバランスとは、次のようなものです。
例えば、これまで楽天やAmazonといったモール型ECを利用していた企業が、独立した自社ECサイトを立ち上げるという場面をイメージしてみましょう。次の3つの案のうち、どれが最も時給換算において効率がよいといえるでしょうか?
- 制作案1. エンジニアはいないがとにかく自社ですべて制作する
- 制作案2. すべて外注する(ECシステム構築からランディングページの制作、運用コンサルタントまで丸ごと発注)
- 制作案3. 一部を外注する(自社でできることを検討し、できないことだけを外注する)
この場合、金銭的な事柄だけに絞れば、もっとも安価にECサイトを運用できるのは制作案1「自社ですべて制作」です。
しかし従業員にエンジニア、もしくは知識豊富なEC担当がいない場合、従業員は調べたり勉強したりしながら制作にあたる必要に迫られるでしょう。ECサイト構築の知識がまったくない場合、これを実現するためにかかる時間は膨大です。
また、どうにか完成したとしても運用後に不具合が発生すれば、自社で対処しきれずに大きなトラブルに発展するおそれがあります。さらに、制作中はほかの業務が少なからず犠牲になるため、社内全体の運営が滞ることも充分考えられます。
金銭的にはもっとも安価ですが、従業員の労力を時給換算すればもっとも能率の悪い制作方法だということが分かるかと思います。
一方で、制作案2の「すべて外注する」という方法は、3つの選択肢のうちでもっとも金銭的なコストが高い制作方法です。
システム構築や運用のすべてを丸ごと外注するため、初期費用だけでなくランニングコストも計上しなくてはなりません。
しかし、従業員は企業としての意向確認や進捗管理さえおこなっていればほかの業務に集中できるため、外注で発生したコストを上回る利益を獲得する可能性もあります。
そのため、従業員のスペックや企業の業務内容によっては、すべてを外注する方法が効率的とみなされるケースもあるでしょう。
とはいえ、もっとも現実的なのは制作案3「必要な部分だけを外注する」という方法です。
では、「必要な部分」をどのようにして決定すればいいのでしょうか。
その答えが時給換算という思考法です。
これまでモール型ECでおこなってきたことを参考にしながら従業員ができること(時間をかけずに実行できる業務)は内部で担当し、専門知識を必要とする部分のみを外注することで効率的に自社の独立系ECサイトを整備することができるでしょう。
日常生活においても、この思考方法は有効です。
買い物をしたりサービスを受ける時には、およその時給を算出しておくと、「本当に必要かどうか」を検討できるので便利ですよ。
ちなみに月給から時給を計算する式は、次の通りです。
月給 ÷ 月実働時間 = 時給
【例】
月給35万÷月実働154時間(7時間労働×22日間)=2,272…円
例の場合、時給はおよそ2,200円です。
食洗機を買いたい時には、毎日の食器洗いにかける時間を計算すれば、購入からどれくらいの期間使えば元がとれるのかが分かります。
徒歩で1時間かかる場所へ移動する時、2,000円以下で到着できそうならタクシーを使った方が時給換算的には「お得」ということになります。
特急料金や即配達サービス料を、「高い」と感じるか「早く手元に届いた分、得した」と考えるかは、商品を待つ時間をどのようにとらえるかによって違ってくるでしょう。
極端にいえば、24時間何もせずに待つことは、先の計算式にならえば2,200円×24=52,800円を無駄にすることにも等しいということです。
送料やサービス料を節約することももちろん大切ですが、その数百円が実質的に無駄を省き、さらなる利益を発生させる可能性もあるということを頭にとめておくとよいかもしれません。